2007.02.25 Sunday
幼い記憶・7
小学校に上がる少し前、隣にかよちゃんが引っ越して来た。
かよちゃんは1つ年上で、目が大きくて色が黒くて、
エキゾチックな顔立ちをしていた。
弟と妹がいるお姉ちゃんだったからか、とても大人びていた。
お母さんはハキハキした活発な人で、おっとりした私の母とは
なぜか気が合った。私たち家族はすぐに仲良くなった。
かよちゃんはよく気がつく優しい子だった。
私が知らないこともいっぱい知っていて、遊んでいると楽しかった。
ある日、公園でブランコに乗っていると、ようこちゃんがやって来た。
「まゆちゃん、私とかよちゃんのどっちが好きなの?」
答えられなかった。
かよちゃんはかよちゃんで、ようこちゃんはようこちゃんなのに、
そんなことを聞かれても答えようがなかった。
「言えないなら、ここに名前を書いて!」
土に文字を書くための棒を渡された。
私は棒を持ったまま、ずっとその場に立っていた。
浜からの風に揺れるブランコの、ギリギリと錆びた音が響いた。
あたりはだんだんと薄暗くなっていった。
かよちゃんが私の耳元で言った。
「まゆちゃん、"ようこちゃん"と書いておうちに帰って」
そうすれば、ようこちゃんの気がすむことはわかっていた。
だけど、かよちゃんの前で嘘をつくのは絶対に嫌だった。
いっそのこと"かよちゃん"と書いてしまおうか・・・・
でもそんなことをしたら、ようこちゃんを深く傷つけてしまう。
私はいたたまれなくなって、その場から逃げ出した。
家に帰って少しして、ようこちゃんが1人で家に来た。
「おばちゃ〜ん、まゆちゃん帰ってる?」
私は母に「出たくない」と言った。
ようこちゃんは帰って行った。
「どうしたの?けんかしたの?」
「なんでもない」
その後も母は私に何も聞かなかった。
この複雑な気持ちは、誰にも説明することができなかった。
かよちゃんは1つ年上で、目が大きくて色が黒くて、
エキゾチックな顔立ちをしていた。
弟と妹がいるお姉ちゃんだったからか、とても大人びていた。
お母さんはハキハキした活発な人で、おっとりした私の母とは
なぜか気が合った。私たち家族はすぐに仲良くなった。
かよちゃんはよく気がつく優しい子だった。
私が知らないこともいっぱい知っていて、遊んでいると楽しかった。
ある日、公園でブランコに乗っていると、ようこちゃんがやって来た。
「まゆちゃん、私とかよちゃんのどっちが好きなの?」
答えられなかった。
かよちゃんはかよちゃんで、ようこちゃんはようこちゃんなのに、
そんなことを聞かれても答えようがなかった。
「言えないなら、ここに名前を書いて!」
土に文字を書くための棒を渡された。
私は棒を持ったまま、ずっとその場に立っていた。
浜からの風に揺れるブランコの、ギリギリと錆びた音が響いた。
あたりはだんだんと薄暗くなっていった。
かよちゃんが私の耳元で言った。
「まゆちゃん、"ようこちゃん"と書いておうちに帰って」
そうすれば、ようこちゃんの気がすむことはわかっていた。
だけど、かよちゃんの前で嘘をつくのは絶対に嫌だった。
いっそのこと"かよちゃん"と書いてしまおうか・・・・
でもそんなことをしたら、ようこちゃんを深く傷つけてしまう。
私はいたたまれなくなって、その場から逃げ出した。
家に帰って少しして、ようこちゃんが1人で家に来た。
「おばちゃ〜ん、まゆちゃん帰ってる?」
私は母に「出たくない」と言った。
ようこちゃんは帰って行った。
「どうしたの?けんかしたの?」
「なんでもない」
その後も母は私に何も聞かなかった。
この複雑な気持ちは、誰にも説明することができなかった。